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「キャンティ」と「キャンティ・クラッシコ」

2019年2月5日
フレスタプラスあらの珈琲 焙煎人荒野です。
今日はイタリア・ワインについてよく聞かれる質問がある「キャンティ」と「キャンティ・クラッシコ」、
何が違う?です。


まず「キャンティは、どれを飲むのがいいの?」キャンティというワインは悩み何所が非常に多いワインである。
「キャンティ」は、多分世界一バリエーションの多いワインだとおもう。「キャンティ」とは、土地の名に過ぎない。つまり、トスカーナ州のキャンティ地区で作られたワインは「キャンティ」を名乗ることができる。このキャンティ地区の作付け面積240,000ヘクタールと言われ、トスカーナ州全体の面積の10%にも相当する。その出荷量もハンパない。D.O.C.G.(イタリアワインの法の格付けね)としてはイタリア最大である。

それがイタリア国内はもとより、世界中に渡り、もちろん日本へも半端ない量が輸入されている。ちょっと注意してもらうと、キャンティは、普通のスーパーにも気軽に並んでいるし、高級デパートやワイン専門店のセラーに大切に保存されていたりもする。価格も1000円を切るものから、1万円を超えるものまである。どれも「キャンティ」だ。決してパチ物ではない。この幅の広さが、キャンティをわかりにくくさせている。では、その差は何なのか?
「キャンティ」の選択で間違えないコツは、まず「キャンティ」と「キャンティ・クラッシコ」を区別することだと、イタリアではよく言われる。その差は大きい。満足度から言って「キャンティ・クラッシコ(Chianti Classico)」を選ぶことをボクはおすすめしたい。味の好みには個人差があるが、キャンティの主要品種サンジョヴェーゼ(Sangiovese)のポテンシャルをしっかりと味わえるのは「キャンティ・クラッシコ」だから。。。(注)※画像は藁で巻かれたフィアスコボトルといってキャンティの代名詞



※↑の図を参照
ここで専門的な話も交えながら、、、、。キャンティという地域はワイン生産において、大きく2つに分けられる。伝統的なワイン生産の実績を誇る「キャンティ・クラッシコ地区」とクラッシコの取り囲むようにある「キャンティ地区」だ。「キャンティ・クラッシコ」は「老舗」であり、その他の「キャンティ」は「新参者」である。(厳密に言うと、広いキャンティ地区から、1996年に伝統あるキャンティ・クラッシコ地区が独立した形)。それにより「キャンティ・クラッシコ地区」とその他の「キャンティ地区」では、政府の指導基準に違いが現れた。例えば、
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【キャンティ地区】サンジョヴェーゼ最低75%使用、黒ブドウ、白ブドウの混醸も
可能(ブドウ品種1つあたり最大10%)
【キャンティ・クラッシコ地区】サンジョヴェーゼ最低80%使用、混醸は黒ブドウのみ。
白ブドウの混醸は2006年以降禁止
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まずは上の通り、使用されるブドウの内容が違う。極端な話を言えば、サンジョヴェーゼに
白ブドウを20%以上混ぜ込んだワインも、サンジョヴェーゼ100%のワインもラベルには「Chianti」
の名がつく。だが、その味が全く別物になることは、あなたもお判りでしょ。

←「キャンティ・クラッシコ」にはこの黒の雄鶏のマークがついている
◇さらに別の例として
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【キャンティ地区】最低熟成期間4ヶ月、リゼルヴァは最低熟成期間26ヶ月

【キャンティ・クラッシコ地区】最低熟成期間11ヶ月、リゼルヴァは最低熟成期間24ヶ月、
さらに瓶内熟成3ヶ月(合計27ヶ月)
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この「熟成期間」がブドウのポテンシャルを引き出すわけですよ。上記の通り「キャンティ・クラッシコ」の
ほうが時間を長く確保していることがわかる。「キャンティ地区」ならば、多様なブドウを混ぜ込み、
わずか4ヶ月寝かせただけで出荷が可能だ。ワインとしては、口当たりは良いものの、ブドウが持つ深みを味わうことはできない。だが大量生産には向いている。

このように両者の特徴は一目瞭然、「キャンティ地区」は自由度が高く、「キャンティ・クラッシコ地区」
のほうが規律が厳しい。この自由度を作り出す原因に、キャンティの特徴の1つ「混醸」がある。元々トスカーナ地方にはサンジョヴェーゼを混醸する「ゴヴェルノ」という醸造法があり、
さらに1850年代にベッティーノ・リカーゾリ男爵が、他種と混醸する手法を確立したことが基盤と
なって現代に至っている。(※ベッティーノ・リカーゾリ男爵↑キャンティの基礎を造った今月おすすめワイン「バローネリカーゾリ」の先祖にあたる)


このようにサンジョヴェーゼは、単独でよりも、ブレンドされることが歴史的に長いブドウであった。
この品種は土地や気候の影響を受けやすく、例えばほんの数百メートル離れただけで変異種を生み出す
ことも稀ではない繊細さを持っている(その良い例がブルネッロがある)
したがって収穫の質にも波がある。この不安定なサンジョヴェーゼを、より安定的に、より良い品質で
80%以上も使える地域が「キャンティ・クラッシコ地区」というわけだ。
つまり「キャンティ・クラッシコ地区」はサンジョベーゼの栽培により適した地域であり、さらに
そのポテンシャルを十分に引き出す規律が整っている。ブドウの個性をしっかり引き出すワインを、
安定的に生み出せる環境が整っているのが「クラッシコ地区」だと言える。


これだけでも「キャンティ」「キャンティ・クラッシコ」の違いは見えてきたとおもいます。


ただもう一つ、両者をわかりにくくしているものがある。「D.O.C.G.」の表示である。イタリアのワイン法で定められる格付けのことで、D.O.C.G.とは最高ランクの印である。実は「キャンティ」も「キャンティ・クラッシコ」も、ともにD.O.C.G.に認定されいる。この認定を得たワインには、ボトルの首の部分を巻くように、細長いシールが貼られている。これを見るとつい安心して買ってしまうらしい。

歴史的には、まず1967年にキャンティ地区全体がD.O.C.のランクに認定され、1984年にD.O.C.G.に
昇格する。先に地区全体が最高ランクの認定を得たのであるが、その後の一部の生産者の姿勢や品質に
「危機感」を覚えた伝統ある地区が、より厳しい規律のもとに結束し、1996年独自にD.O.C.G.の認定を勝ち取ったのが「キャンティ・クラッシコ地区」というわけ。だから、同じ
「D.O.C.G.」のラベルを見ても、異なる基準で作られており、ワインの内容は全く違ったものに
なってします。


ここまで読んで、もし「キャンティ地区」のワインに否定的な印象を受けたら、ゴメンなさい!
しかし断じてそうではない。「キャンティ」は「自由度が高い」。そのため逆に、独自のブレンド
など創作もしやすい。したがって、驚くほど個性的なワインが生み出せるのも
「キャンティ」の魅力だ。「キャンティ地区」のワインでも評価の高いワインはたくさんある。
(キャンティ地区の中に7つの特別認定地域があり、ワインにその地名を入れブランド化できたりする)。
←◇カルピネータ フォンタルピーノ 「キアンティコッリセネージ」画像はフレスタでもお馴染み
の「キャンティ」。7つの特別認定地域のひとつ「コッリセネージ」で造られるサンジョベーゼ100%。
「キャンティ・クラッシコ」でないが素晴らしいキャンティだとおもうのは荒野だけでないはず!





このように価格の高い「キャンティ地区」のワインも存在する。逆に「クラッシコ」でも
量産タイプだと低価格だったりする。このような事情も迷いを生む要因になっている。
ただ、スーパーや量販店の店頭で求める場合、「外れ」を避け、サンジョヴェーゼの旨味を
安定して味わうならばやはり「クラッシコ」のほうが相応しいと思うわけです。



『これをキッカケにさらに「キャンティ」に興味を持っていただいたならば、幸いです。
特に「クラッシコ」のワインは日本の食事との相性のいい数少ない赤ワインだと言われている。
たとえ肉料理であっても、和の調理法と赤ワインは合わせにくいものだ。そんななか、
良質な「キャンティ」は絶妙に和食に順応してくれる。』