デカフェって、どうやってカフェインを抜いているの?
- 珈琲豆
- 2026年08月13日
デカフェって、どうやってカフェインを抜いているの?
先週、新しいデカフェが入荷しました。
今回選んだのは、「エチオピア モカ」のデカフェ。
そして、このコーヒーにはもうひとつ注目してほしいポイントがあります。
それが、「マウンテンウォーター製法」でカフェインを除去していること。
「デカフェなのは分かったけど、マウンテンウォーターって何?」
そう思いますよね。
そもそも考えてみると不思議じゃないですか?コーヒー豆には最初からカフェインが含まれています。
では、
そのカフェインをどうやって取り除いているのでしょう?
今日は普段あまり見ることのない、
「デカフェができるまで」
のお話です。

そもそもデカフェとは?
デカフェ(Decaffeinated Coffee)は、その名の通り、コーヒー豆からカフェインを取り除いたコーヒー。
ここで大事なのは、
最初からカフェインの入っていない特殊なコーヒー豆というわけではない、ということ。
普通のコーヒーと同じように育て、収穫された生豆から、焙煎する前にカフェインを取り除きます。
つまり、
コーヒーをつくる → カフェインを抜く → 焙煎する。
私たち焙煎店に届く時点では、すでにカフェイン除去処理を終えた生豆になっています。
では、どうやってカフェインだけ抜くの?
これが今回の本題。
現在使われている代表的な方法を大きく分けると、
① 水を利用する方法
② 溶媒を利用する方法
③ 二酸化炭素(CO₂)を利用する方法
などがあります。
「カフェインを抜く」という目的は同じ。
でも、
そこへたどり着く方法が違うんです。
① 水の力を利用する「ウォータープロセス」
今回入荷したエチオピアモカは、この仲間。
マウンテンウォーター製法(Mountain Water Process)です。
名前の通り、水を利用してカフェインを取り除いていきます。
簡単に言ってしまえば、生豆を水に浸して成分を移動させ、そこからカフェインを除去していく方法。
ただし、
「水に浸けてカフェインを洗い流せば終わり」
という単純な話ではありません。
なぜならコーヒー豆には、カフェイン以外にも、香り、甘さ、酸味などにつながる大切な成分がたくさん含まれているからです。
何でも水へ流れ出してしまったら、カフェインと一緒にコーヒーのおいしさまで失ってしまいます。
そこで水に溶け出す成分の性質や濃度差などを利用しながら、できるだけコーヒーらしい成分を残し、カフェインを取り除いていく。
ここがウォータープロセスの面白いところです。
「スイスウォーター」と「マウンテンウォーター」は同じなの?
デカフェ好きな方なら、「スイスウォータープロセス」
という名前を聞いたことがあるかもしれません。
こちらも水を利用した代表的なカフェイン除去方法です。
スイスウォーターでは、コーヒーの可溶性成分を含みながらカフェインを除いた独自の生豆抽出液を使い、濃度差によって豆からカフェインを移動させます。そしてカフェインを含んだ液体をカーボンフィルターに通し、カフェインを取り除きます。
こうして、コーヒー本来の成分をできるだけ残しながらカフェインを除去していきます。
マウンテンウォーター製法も、考え方としては同じ「水を利用するデカフェ製法」の仲間。
今回のエチオピアモカはこちらの方法で処理されています。
② 溶媒を利用してカフェインを取り除く方法
もうひとつ代表的なのが、
カフェインと結びつきやすい溶媒を利用する方法。
たとえば、エチルアセテート(酢酸エチル)などを利用したデカフェがあります。
最近スペシャルティコーヒーの世界でもよく見かける、
「EAプロセス」と呼ばれるものですね。
特にサトウキビ由来のエチルアセテートを利用したものは、「シュガーケイン・デカフェ」などと呼ばれることもあります。
水とは違ったアプローチですが、これもカフェインの性質を利用して豆から取り除いていく方法です。
③ CO₂でカフェインを抜く方法もある
さらに面白いのが、
二酸化炭素(CO₂)を利用する方法。
圧力をかけたCO₂の性質を利用して、コーヒー豆からカフェインを抽出します。
「二酸化炭素でカフェインを抜く?」
なんだか理科の実験みたいですよね。
設備も大掛かりになるため、どこでも簡単にできる方法ではありませんが、これも現在使われているデカフェ製法のひとつです。
デカフェは「カフェインを抜けば終わり」じゃない。
ここまで読むと分かると思います。
実はデカフェって、
かなり手間がかかっています。
普通に生産されたコーヒー豆を、さらに別の工程へ運び、
カフェインを取り除き、
もう一度乾燥させ、
それから私たち焙煎店へやって来る。
しかも難しいのは、
カフェインだけを取り除きながら、どれだけそのコーヒーらしさを残せるか。
ここなんです。
昔は、
「デカフェだから味は仕方ないよね。」
というイメージもあったと思います。
でも現在はデカフェの技術も進み、さらにスペシャルティコーヒーの世界では、そもそも処理する原料のコーヒー自体の品質にもこだわるようになっています。
実際、近年は高品質なデカフェがコーヒー競技会でも注目されるなど、「カフェインを我慢するためのコーヒー」から「味で選べるコーヒー」へ変わってきています。

だから今回、「エチオピア モカ」を選びました。
今回フレスタに入荷した新しいデカフェは、
エチオピア モカ × マウンテンウォーター製法。
デカフェだから選んだというより、
ちゃんとコーヒーとして楽しめるデカフェを置きたかった。
そこが一番です。
夜にもコーヒーを楽しみたい。
カフェインを少し控えたい。
でも、
「だから味は妥協する」では、ちょっと寂しい。
せっかく飲むなら、
香りを楽しんで、
ゆっくり味わって、
「あぁ、やっぱりコーヒーっていいな。」
と思える一杯であってほしい。
そんな選択肢のひとつとして、
今回のエチオピア モカ・デカフェを楽しんでいただけたら嬉しいです。
そして飲む時にちょっとだけ、
「この豆、水を使ってカフェインを抜いてるんだよなぁ……」
なんて思い出してもらえたら、
いつもの一杯が少しだけ面白くなるかもしれません。
ぜひ一度、お試しください。
